こんにちは。身の回りの物が黒と紺で占められているイノタスです。
今回の"副業から始める起業シリーズ"は、顧客の「ニーズ」についてのお話です。
マーケティングを勉強したことのある人なら、「顧客のニーズに応えることが売れるポイント」というフレーズを聞いたことがあると思います。そもそも、顧客のニーズに応えること自体が事業の目的とさえ言えますから、「ひとり起業」においてもニーズに応えることは重要です。
ですが、この"ニーズに応える"という意味のとらえ方がズレていると、誰にも刺さらない商品になる可能性があります。モノ余りの時代では、ニーズがあってもそれをすぐに満たせる手段にあふれているため、あなたが一生懸命ニーズに応えようと努力しても、認識がズレているとスルーされてしまいます。
そこで今回は、「ひとり起業」における"ニーズの応え方"をお伝えしていきます。
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「ニーズ」とは何か?
まず初めに「ニーズ」とは何か?について整理してみましょう。まあ「必要性」ってことなんですけど、結構ざっくりとした言葉なので、もう少し噛み砕いて説明してみます。
「ニーズ」と「ウォンツ」
「ニーズ(必要性)」をたどっていくと、「不○」という状態から生まれているのが分かります。不安、不満、不足、不便、不快に感じていて、それを「解決したい」というのがニーズです。
なので、「ニーズに応える」とか「ニーズを満たす」というのは、不○がある現状と理想の状態の間にある「ギャップ」を埋めてあげることになります。今の状態から"望んでいる理想の状態"に変化する手段・方法を提供することです。
「ウォンツ(欲求)」という言葉もあります。ニーズ(必要不可欠)ほどではないけれど「欲しいな、あったらいいな、こうなりたいな」といった具合です。今の時代、最低限のニーズは満たされていますから、"ニーズに応えながらウォンツも満たす"ような商品・サービスが求められます。
世間で売れたり流行ったりしている商品やサービスを見ると、「不○を解消しつつ欲求も満たしている」というのが分かります。こういった見方をすると、たとえばレアジョブなどの「オンライン英会話」や、ネットフリックスなどの「ネット動画配信」が流行っている理由がよく分かります。
顧客が買っているもの
モノやサービスを買うときに「何に対してお金を払っているのか?」を考えてみることは、ニーズをより理解する上で役立ちます。実際のところ、"モノやサービスそのものが欲しくて買っているわけではない"ということが分かります。
たとえば、書店で本を買うとき、"印刷された紙の束"が欲しくて買うという人はいません。本に書かれている「内容」が欲しくて買うわけです。新たな学びが得られたり、知識不足を補うための「役割・手段」に対してお金を払っていることになります。
わが家では、ヘルシオホットクック(自動調理鍋)が大活躍しています。モノとしては大きいのでなかなか邪魔ですが、それでも重宝しているのは「いろんな料理が手間なく短時間で美味しくできあがる」という機能にとても満足しているからです。まさにその機能(役割・手段)が欲しくて、それに対してお金を払ったわけです。
ニーズやウォンツを考える上で一番大切なことは、顧客が買っているのは商品やサービスそのものではなく、「不○」や「欲求」という問題を"解決する役割"を買っているということです。商品やサービスというのは「問題解決の役割や手段にすぎない」ということを覚えておいてください。
よく例えられるのが「ドリル」の話ですね。「顧客がドリルを買うのは、ドリルが欲しいからではなく穴を開けたいから」ということです。現状と理想の状態に「ギャップ」があって、それを解決してくれる(ギャップを埋めてくれる)役割や手段にお金を払っているわけです。
ひとり起業における「ニーズの応え方」
冒頭で書いた"ズレたニーズの応え方"ですが、これは一言でいうと「自分にできること」を軸にニーズに応えようとする(商品やサービスを考える)ことで起こります。
主語が「自分」では響かない
実際、ほとんどの人が「自分にできること=強みや専門性、得意分野」から商品を考えています。もちろん、自分にできないことでは応えられないので、最終的には「自分にできること」を活かすのですが、発想のスタートが「自分の商品ありき」になってしまうと、相手には響きません。
著名な人ならまだしも、「私はこれができます。これが得意です」と言ったところで、「へぇ~」「あ、そうですか」「すごいですね」「…で?」という反応がオチです。主語が「自分」になっているうちは、相手の興味を惹くことはできません。
顧客の関心は?
顧客にとっての関心は、あなたに何ができるかではなく、「それ(商品)で私はどうなるの?」ということです。なので、「こんなメリットがあります。他とはここが違います」とアピールしても伝わらないのは、単に商品の説明をしているにすぎないからです。
先述したように、顧客が買っているのは商品そのものではなく「役割」ですから、「それを使うと私はどう変化するの?」というメリット(悩みや問題の解決)が伝わらなければ、あなたの商品に興味を持つことはありません。
相手の興味を惹くには、「これを使うとあなたの悩みや問題が解決されて理想の状態になります」「あなたの願望が実現されます」という表現が不可欠です。相手を主語にして"相手が望む変化"を提供できるという伝え方が必要になります。
相手の不○を考える
ビジネスにおいて考えるべきは「相手の不○」です。「誰のどんな悩みや問題を解決したいのか」から考え始めます。「コンセプトを決める」という記事にも書きましたが、あなたの「強み」を活かして何かを提供するのは最後で、最初に考えるべきことは「誰のために」です。
以前、私が参加したセミナーでも「誰を助けたいですか、誰の役に立ちたいですか」とよく聞かれました。「自分にできること」からいったん離れて、「誰の役に立ちたいか」「その人にはどんな悩みや問題があるか」を考えます。相手の「不○」や「欲求」を考え抜くわけです。
「自分にできること」をつなぐ
「誰=相手」を軸に考えると、その相手が感じる悩みや問題がいくつも出てくるはずです。それらの中から、あなたの「できること」で解決の役に立てるものがないかを考えます。
今のあなたでは解決できない悩みもあると思いますが、相手への想いが強ければ、何らかのお役に立てることがいくつかあるはずです。相手の悩みの解決に「自分にできること」がどう役立てられるか、どうつなげられるかを考えます。
大切なのは、「何か役に立てることがあるはずだ」という想いです。
誰の役に立ちたいか
このように「誰の役に立ちたいのか」から発想すると、あなたの「できること」の可能性や価値が広がっていきます。反対に「自分にできること」に固執すると、それで解決できる悩みや問題しか出てこないため、発想が広がりません。
「誰の役に立ちたいのか」「その人にはどんな悩みや問題があるか」からスタートして、そこに「自分にできること」をつなぐ。これが、ひとり起業における"ニーズの応え方"になります。
ペルソナ設定が重要
「誰の役に立ちたいか」「その人にはどんな悩みや問題があるか」を考えるのに、前回の記事で書いた「ペルソナ」の設定が役立ちます。「理想の顧客像1人」をイメージできるまで絞り込みできれば、どんな悩みや問題を持っているかを想像しやすくなります。
ポイントは、"あなたが本当に役に立ちたい相手"をペルソナに選ぶことです。ここでも「自分にできること」ありきになってしまうと、単に自分にとって都合の良いペルソナを作り上げてしまいますから、「誰のために」という"あなたの想い"を大切にペルソナを選んでください。
まとめ
- ニーズ:「不○」という状態から生まれる
- 「ニーズに応える」:"相手が望む理想の状態"に変化する手段・方法を提供すること
- 顧客が買うもの:商品そのものではなく「役割・手段」を買っている
- 顧客の関心:「それで私はどうなるの?」という変化
- 主語が「自分」では響かない:「自分の商品ありき」の考えから離れる
- 相手の不○を考える:相手を主語にして「望む変化を提供できる」という表現が不可欠
- 誰のために:「誰の役に立ちたいか」「その人はどんな悩みや問題があるか」を考える
- 自分にできることをつなぐ:「何か役に立てることがあるはずだ」という発想が大切
- ペルソナ設定が重要:"本当に役に立ちたい相手"をイメージする
おわりに
今回は「顧客のニーズ」の第一弾として、ひとり起業における"ニーズの応え方"についてお伝えしました。「自分にできること」という視点から離れるのは難しいことですが、あなたが役に立ちたい「相手の不○」を考えて、「何か役に立てることがあるはずだ」という発想を持つことが大切です。
続く第二弾では、相手のニーズに応える上でもうひとつ重要なことについて書いてありますので、そちらも参考にしてもらえればと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございましたm(__)m